まだ、君を愛してる.doc
翌日、その翌日も、彼女は会社を休んだ。
「なぁ、久保。新島さん、どうしたんだ?こんなに休むなんて、今までなかったよな?」
「そうですね。でも、有給たくさん残っているって言ってたし、有給使ってるんでしょ?それって普通じゃ・・・」
そうだった。ネットに来ていた有給申請。それを見てはいたが、facebookの事があり、彼女を意識している。だから、二日間いないだけでも、心の隙間を感じていた。愛花が出て行き隙間が生まれ、また今、新島さんがいない事で、隙間が生まれた。それも新島さんに関しては思いがけない告白で、僕の痛んだ心が踊り始めていただけに、隙間の大きさは反動で大きかった。
「あ、そっか。そうだったな。」
よく確認すると、あと三日間申請が出ている。つまりは今週逢えない。それを思うと同時に昔、学生の頃を思い出した。
同じクラスの女子に、よりにもよって一学期に告白した。確か、中一の頃だ。そして玉砕。しばらくは恥ずかしくて学校に行くのがつらかった。それと同じで新島さんも、僕に告白してから恥ずかしくて、会社に来づらくなったのだろうか。もっとも僕は彼女をフっていない。だから、あの頃の僕に比べれば、はるかにマシだと思うが、女心の中に理解出来ない何かがあるのかも知れない。
「何、呆けているんですかねぇ。」
久保はニヤニヤしている。もしかしたら、あの日、あの後、新島さんは僕とのやりとりを、久保に話したのかも知れない。なら、このニヤつきも理解出来る。
「なんだ、その顔。」
「いや、なんでもないですよ。」
「なんでもない訳ないだろ。さっきからニヤついて、気持ち悪い。」
「いやだなぁ。被害妄想ってやつですか?」
もちろん新島さんが久保に話した証拠はない。だから、被害妄想と言われればそれまでだ。
「そんなんじゃない。だったらいい。仕事しろ。」
「はい、はーい。」
液晶に僕の顔が映る。新島さんがいない寂しさと久保に対するイラつき。それが入り乱れた、なんとも不思議な顔をしていた。
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