まだ、君を愛してる.doc
携帯を開いた。そして、写真を確認した。そこにあるのは僕と愛花、そして久保たちの写真。一度、愛花とデートしている時に久保たちと居合わせ、そのまま居酒屋に行った時の写真だ。そこには新島さんもいる。
「この駅でよかったはず・・・」
新島さんがいるのは、愛花の実家の駅だ。彼女は会社を休んで、ここに来ていた。女の勘がそうさせた。
新島さんの中では、愛花が出て行く理由、それは愛花にしかない。僕が何かするわけがないと、ある種の味方的な考えをしてくれていた。なら、愛花にある疚しい事を見つければ、僕と愛花は離婚せざる得ない状況となると考えた。
そして、思いがけないほど早く、愛花を見つけ出した。それはこの小さい街で、愛花は見つけて下さいと言わんばかりに輝いていたと言うのもあるが。
「いた。」
白と黒のチェックのワンピース。モノクロのはずなのに、新島さんにも、それは鮮やかな色として映った。
「ふぅん、フェロモン全開な訳だ。」
すぐ先に、柏の姿があった。グレーの車。また、愛花は柏に逢うために、駅で待ち合わせしたのだ。
愛花と柏はロータリー、新島さんはそこから離れたバス停の陰にいた。つまり気づかれていない。いや、そもそも愛花が、新島さんを覚えているのは皆無だから、隠れるまでもない。けど、体が勝手に反応していた。
「見つかってないよね?」
逆にそれが怪しかったが、愛花は柏に夢中だ。
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