まだ、君を愛してる.doc
「うわっ?!」
こっちは全神経を指先に向けていた。それが突然のメール。驚かない方がおかしい。
「だ、誰だ?」
メールの概要を見るが、送信者は見た事のないアドレスだ。件名には「この写真を見て下さい」とある。
「なんだ、迷惑メールか?」
そうも思ったが、最近はキャリアのフィルターが優秀なのか、迷惑メールらしきものは届いていない。となると、このメールは誰からはわからないが、きっと普通のメールなのではないだろうか。
思い切って開けてみた。
「・・・」
言葉ってなんだろう。それの一言に尽きる。どんなに悲しくても、どんなにつらくても、たった一言すら発せられない。
「・・・」
さっきの涙、それは何倍にもなり、リビングの床を濡らした。泣く、泣く、泣く・・・。
自分でも驚いた。まだ、こんなに泣けるんだ。まるで子供みたいに泣けるんだ。しまいには嗚咽すらしている僕。もう、どうしたらいいのかわからない。
幸いな事に、僕の家はマンションの上の方だ。つまりは外に飛び出せば、このつらさから解放される。ベランダの方へ歩いたが、だんだんと腰に力が入らなくなり、その場に四つん這いになった。
「・・・」
息を肩でした。何度も、何度も、それで整った頃、やっと声が出るようになった。
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