まだ、君を愛してる.doc
「だから・・・」
納得した。愛花が僕と誰かを比較するような発言を度々する理由、それがこの写真の意味するところなのだろう。愛花と一緒に写っている男。この男が誰かはわからない。しかし、しっかり寄り添い歩く姿は、愛花もこの男も愛し合っているのは明らかだ。そして写真のファイルの日付から察するに、これはつい最近の写真。家を出た理由、それは他の男と会うための口実にとしか思えない。
「なんで・・・」
不倫と言うものに対して、知見があるわけではない。だから、どれくらいの時間で一緒にホテルに行こうとまでなるのか、僕には想像もつかない。ただ、おそらく一日やそこらの期間ではないはずだし、仮にそうだったとしても、それは愛花の名誉を守るためにも否定したい。愛花はそんな軽い女ではない。と断言したい。
葛藤。さっきまではやり直しのメールを送ろうとしていた僕だ。この事実にするべき行動を探し続けているが、何が正しいのか、気が狂いそうだ。
なんとなく勢いで買ってしまった洋服。が、結局着ないとなる洋服。あの洋服を買う前の心境に近い。
気づくと、僕は愛花に写真をメールしていた。
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