まだ、君を愛してる.doc
久保が言った。
「課長、どうしたんだろうな?」
鈴木は首を振った。
「さぁ、なんでしょうね。」
ちょうど新島さんと僕は入れ違いで休むような形になっていた。だから、新島さんからすれば、二人の会話はさっぱりのはずだ。けど、二人の会話に割ってきた。
「課長、心配ですね。」
「あ、新島さん、課長の事でなんか聞いてる?」
「いいえ。でも、課長って・・・今、一人暮らしですよね?倒れてたりしなきゃいいけど。」
「だよな・・・。一回メール来たっきり、こっちから連絡してもなしのつぶてだからな。困った・・・」
「あの私、様子見てきましょうか?どうせ同じ方向だし。」
「あれ、そうだっけ?じゃ、お願いしてもいいかな。」
「はい。」
僕の知らないところで、こんな会話があったようだ。ありがたくない会話だ。僕が休んでいる理由、それは人に会いたくないのだ。この世から隔絶されたい。そう思っているからこその行動なのだ。
だから、チャイムが鳴った時、はじめは出ずにいた。
「宅急便・・・うるさい。」
昼夜は入れ替わり、変な時間に眠りにつく日常。チャイムはその寝入り端にきたものだから、機嫌の悪さに拍車がかかった。
「うるさいっての。」
布団を頭から被った。どうあっても荷物を受け取らせたいらしい。しつこく、しつこく、どれだけチャイムを鳴らせば気が済むのか、そう問いただしたくなるほど、しつこくチャイムを鳴らす。さすがにここまでになると、どんなに眠くても寝ていられない。
布団から出る体は石のように重く、それを引きずるようにしてモニターを確認した。
< 78 / 89 >

この作品をシェア

pagetop