まだ、君を愛してる.doc
「いいじゃないですか!ねぇ、お願いします。」
「本当に勘弁して。じゃ・・・」
玄関のドアを締めかけると、また彼女はチャイムに手をかけようとした。
「あぁ、わかった。わかった。開ければいい?」
「はい、それでお願いします。」
しかたなくチェーンロックを外し、正直チェーンロックを外すには一度ドアを閉めねばならないから、どうにかしてシカト出来ないかと考えながら、でも無理だとわかっていたから、ゆっくりと彼女を招き入れた。
「お邪魔します。」
片付いていない部屋、身なりのだらしない僕、心を現している。どれだけ荒んでいるのか、第三者として見ると嫌でならない。しかし、彼女は気にする事もなく、淡々と話し始めた。
「病気ですか?」
「えっ、なんで?」
「だって、部屋も片付いてないし、何よりそれ・・・」
僕を指差した。
「それ・・・?」
「いつもの課長らしくないから。そんなボロボロな課長、はじめて見ました。だから、風邪でも引いて寝込んでたのかなって。」
「なるほどね。それよりさ、立ち話もあれだから、そこら辺に座って。」
ソファーの上に置いてあった雑誌をどかし、彼女が座れるようにした。
「ありがとうございます。」
そこに腰掛け、僕に礼を言った。
「何か飲む?」
「あ、大丈夫です。気にしないでください。」
< 80 / 89 >

この作品をシェア

pagetop