まだ、君を愛してる.doc
そう彼女は言ったが、僕は喉が渇いていた。だから冷蔵庫を開けた。しかし、驚くほどたいしたものが入っていない。だからこそ、コーラの大きなペットボトルが、存在をこれでもかと誇示しており、それを飲むしかないなとグラスに注いだ。もちろん、新島さんの分もだ。
「良かったら。」
「ありがとうございます。」
「で、なんの用だっけ?」
「あ、そうです。ずっと課長が休んでいるから、久保さんと鈴木さんが様子を見てきてくれないかって言われて。風邪じゃないですよね?」
僕の家に入って少しの間、よく彼女は観察していたのだろう。だから、そう言ったのだ。
「あ、うん。風邪じゃない。」
「じゃ、なんでお休みしてるんですか?」
「もう、どうでもよくなっちゃって・・・」
「どうでもよくなった?」
僕は大きなため息をついた。それから立ち上がり寝室に携帯を取りに向かった。
「うーんと・・・なんだろうな・・・」
言うべき内容は定まっている。それを話すために携帯を取りに行った。けれども、喉元に感情の塊のようなものがつかえ、すべてをせき止めている。
「・・・」
「課長?」
「ちょ、ちょっと待って。」
離婚の日。あの日、僕には勢いがあった。愛花に対する怒り、おそらくはそれが全てを突き動かしていた。もっと冷静になっていれば、離婚と言う最悪の事態は避けられたかもしれない。けど、そうはならなかった。それからの数日間考えてみた。愛するの意味。例えば今こうして新島さんと二人きりでいる。まして彼女をかわいいと思っていた。好きとも言われた。愛花はいない。なら、彼女へ愛を向けてもいいはずだ。
無言の心臓。
もう随分前の事だから、この感覚が正しいかもあやふやなのかも知れないが、心臓は彼女に対して何も語らない。
「良かったら。」
「ありがとうございます。」
「で、なんの用だっけ?」
「あ、そうです。ずっと課長が休んでいるから、久保さんと鈴木さんが様子を見てきてくれないかって言われて。風邪じゃないですよね?」
僕の家に入って少しの間、よく彼女は観察していたのだろう。だから、そう言ったのだ。
「あ、うん。風邪じゃない。」
「じゃ、なんでお休みしてるんですか?」
「もう、どうでもよくなっちゃって・・・」
「どうでもよくなった?」
僕は大きなため息をついた。それから立ち上がり寝室に携帯を取りに向かった。
「うーんと・・・なんだろうな・・・」
言うべき内容は定まっている。それを話すために携帯を取りに行った。けれども、喉元に感情の塊のようなものがつかえ、すべてをせき止めている。
「・・・」
「課長?」
「ちょ、ちょっと待って。」
離婚の日。あの日、僕には勢いがあった。愛花に対する怒り、おそらくはそれが全てを突き動かしていた。もっと冷静になっていれば、離婚と言う最悪の事態は避けられたかもしれない。けど、そうはならなかった。それからの数日間考えてみた。愛するの意味。例えば今こうして新島さんと二人きりでいる。まして彼女をかわいいと思っていた。好きとも言われた。愛花はいない。なら、彼女へ愛を向けてもいいはずだ。
無言の心臓。
もう随分前の事だから、この感覚が正しいかもあやふやなのかも知れないが、心臓は彼女に対して何も語らない。