君というヒカリ。



しばらくして熱々のココアが運ばれてきた。




「あの…
もしかして、田代結(タシロユイ)先輩ですか?」



唐突に話しかけられた女は、
一瞬眉間にしわを寄せた。



「……。」




少しの沈黙。
男は自分を名乗っていないことに気づき慌てたように口を開いた。



「あっすいません!
俺、同じ学校で1年の桜井湊(サクライミナト)っていいます!

先輩のことは高校入ってすぐ噂で聞きました。
学校、全然来られてないんですよね…?」




少し不安げに女の顔を覗くと案の定さっきよりも不機嫌そうな顔をしていた。



「だったら、何?
あたし、あんたのことなんか知らないし。

てか噂聞いたなら知ってんでしょ。
あたしの姿。

あたしには関わらない方がいいよ。」




冷たい低いトーンだった。
まるで人を寄せ付けまいとするかのように…。



本当の姿。

知っている。

学校では女は軽蔑し、男はあまりの美しい容姿に抱きたいと言う奴もいる。




でも、この女は全然姿を見せない。


理由はただ1つ。










毎日違う男と寝ては金を取ってる

"援交女"だからである。





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