恋愛模様・番外編-"あいみ"として-
次の日。
いつもの格好で、HRギリギリに教室に入った。
短めの黒髪アシメで、スカートは長め。
その下に短パンを仕込む、というのが私のいつものスタイル。
「おー、いつもの愛美だ」
華菜惠ちゃんが八重歯を見せて言った。
「昨日のもいいけど、やっぱりそっち方が愛美らしい」
「私もこれが一番落ち着く……」
「え、お前、愛美?」
と、会話に割って入ってきたのがコタだ。
上から下まで、ゆっくりと視線を走らせた。
「テニスコートが体育館横にあるから、見たことくらいあると思うんだけど……。
私、テニス部だし」
「見たことはあるっつーか……女バスの子がよく噂してたし……」
「なんの噂?」
私のかわりに華菜恵ちゃんが聞いた。
「"女子学内一位の俊足がテニス部にいる"って、けっこう色んな運動部が欲しがってるとかなんとか。
"小柄だけど小回りはきくし、助っ人にだけでも山村さん来てくれないかな"、ってよく聞くんだよ」
…………そーなの?