日常的幸福論~もうひとつの話~
それから数日が経った。


夕飯の買い出しへ行き、ビニール袋両手に抱えて家路へ向かう。


その途中にある小さな公園。


あれ?あの人…。


ベンチに腰をかけて背を丸くしながら元気に遊んでいる子どもたちを遠く見つめる男性。


やっぱりあのときの喫茶店で会った男性だ。


「こんにちは」


「……あぁ、キミはあの喫茶店にいたお嬢さんかい?」


「はい!すみません、いきなり声をかけてしまって」


「いやいや、声をかけてもらって嬉しいよ。偶然だね」


男性は優しくわたしに笑いかけてくる。


なんだろう?この感じ…喫茶店では気付かなかったけれどこの男性の瞳、どこかで見たような…。


「お嬢さんは買い物の帰りかい?」


男性はあたしが持っている大量のビニール袋に視線を移した。


「はい。あすっ…主人が早く仕事が終わるのでいろいろ買いすぎちゃって」


しゅしゅしゅ、主人だって!!!


あんまり言い慣れない単語だからすっごい恥ずかしい!!!
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