日常的幸福論~もうひとつの話~
「それからお嬢さん、あなたも素敵な方だ。きっとお似合いの夫婦なんだろう」


そんなこと言われたのは初めてでなんだか照れてしまう。


「おっと、話こんでしまったね。お嬢さん、そろそろ帰らないと夕飯の支度があるんだろう?」


「あっ、そうでした。…あの、がんばってください」


「ハハッ、ありがとう。今日はもう時間も遅いからまた再度チャレンジするよ」


「うまく行くといいですね」


「……お嬢さんや旦那さんの言うような縁があるならば、きっと私とお嬢さんの出会いも縁なのだろうか?」


「はい!もちろん!」


あたしが大きい声でそう笑うと、男性はニッコリと微笑んだ。


やっぱりこの瞳、どこかで見覚えがある…。


でもどこで?


その答えをあたしが知るのはこの公園での再会から数日後の出来事だった。
< 116 / 124 >

この作品をシェア

pagetop