日常的幸福論～もうひとつの話～

貴重な飛鳥のオフの日、


どこに出かける訳でもなく飛鳥は飛鳥でこの後に控えている映画の台本読みを自室でしていて、


あたしはリビングの掃除をしていたときだった。


もうすぐお昼だ。飛鳥、何食べるかな…？


冷蔵庫の中を見て何を作るか考えているとチャイムが鳴った。


「はいはぁい」


ドアモニターで来客のチェックをするとそこに移っていたのはなんとあのときの男性。


えっ！？なんで！？


あたし、住所教えてないよね！？


『すみません、間宮 飛鳥さんは御在宅でしょうか？』


緊張した顔で男性が口にした名前は飛鳥の名前で。


えっ、どういうこと！？


「沙依、誰が来たんだ？」


インターフォンが鳴ってもなかなか玄関の扉を開けないあたしを不思議に思ったのか、飛鳥が自室から出てきた。


飛鳥がドアモニターを覗き込むと一気にその表情は険しくなる。


「親父…？」


「えっ、親父って…飛鳥のお父さん！？」


あの飛鳥の役者への道を猛反対して飛鳥を勘当したというあのお父さん！？