日常的幸福論～もうひとつの話～
「ごめんくださぁい！」


事務所から鍵を受け取ったあたしはお母さんから事前にある場所を聞いていた。


そして事前に電話をしていたからあたしは迷うことなくたどり着けた。


あたしの声に気付いて顔を出したのはおしとやかな綺麗な顔の女性。


飛鳥のお母さん。そう、ここは飛鳥の実家だ。


「いらっしゃっい、沙依さん」


「はじめまして。申し訳ありません、急にお邪魔してしまって」


「いいえ。主人から沙依さんの話を聞いて、会ってみたいと思っていたの。可愛らしい娘ができて嬉しいわ」


微笑む顔は飛鳥にそっくりで、初めてお会いしたのに心がポカポカと暖かくなる。


どうぞ、とお義母さんからスリッパを差し出されてリビングに通されるとリビングには飛鳥のデビュー当時の写真から今現在の写真まで、たくさんの写真が並んでいた。


「いらっしゃっい、沙依さん。よく来てくれたね」


「お義父さん！お久しぶりです！」


「沙依さん、お茶が入りましたからどうぞお掛けしてください」


お義母さんに促されて座るけれど飛鳥の写真がいっぱい貼ってあるこの部屋にキョロキョロしてしまう。
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