日常的幸福論~もうひとつの話~
エピソード2
出合い
飛鳥side
あれはもう何年も昔の話。
俺の人生を変えた日のことだった。
「飛鳥っ!!またサボりぃ?」
ケラケラ笑って隣に座ってきたのは当時付き合っていた彼女。
好きとかそういうのではなく、告白されてなんとなく付き合っていた彼女。
「次の授業、特別授業だよ?飛鳥、この前の特別授業もサボってたじゃん。先生に怒られるよ」
「いいよ、ダルイし」
特別授業。
うちの高校では月に一度、落語や古典芸能、売れない芸人を呼んでは公演を見るという授業があった。
「どうせ落語かなんかだろ?行くの面倒」
「んーん。今回は演劇だって」
演劇?
「ねっ、面白そうでしょ!?行こう!!」
あまりにも彼女がしつこくて。
しぶしぶ公演会場へ向かった。
これが最初のスタート地点だったんだろう。