日常的幸福論~もうひとつの話~
ここ、か。
放菊地先生から劇団“神風”の事務所兼、稽古場を教えてもらった。
今まで感じたことのない胸の高鳴りを抑えられなかった俺は放課後になるなり教室から飛び出すようにここまでやって来た。
そこは木造の公民館のような場所。
入り口には黒の墨字で【劇団員募集中!!未来のスターは君だ!!!】と大きな汚い字で書かれていた。
「何、入団希望?おっ、やった!美少年!!」
振り替えると両手にビニール袋を持った女性がいた。
あっ。
「さっき…演技してた…」
「さっき?あぁ、その制服、唐木高校の制服じゃん。劇、どうだった?」
「すごく、感動しました」
女性は「そりゃあ良かった」と大きく笑った。
それが凛子さんとの出会い。