日常的幸福論~もうひとつの話~
入ってぇ、と促されて事務所に入った。
事務所は資料にまみれていてお世辞にも綺麗とは言えない。
「麻生凛子さんですよね?」
「そっ。麻生凛子、19歳。キミは?」
「間宮飛鳥。唐木高校の2年です」
凛子さんは慣れた手つきで先ほど持っていたビニール袋からお肉や野菜をミニキッチンの冷蔵庫へしまっていった。
「ごめんねぇ、汚くて。前はもっと綺麗だったんだけど、見習いの子が急に辞めて。あっ、今お茶入れるから」
「俺が!!俺が入ったらダメですか!?」
俺の質問にヤカンを持った凛子さんの手が止まる。