日常的幸福論~もうひとつの話~
子どもの頃から、なんとなくで育ってきた。
そしてなんとなくで良い結果を出していた。
なんとなくでサッカーを始めたら都大会で優勝したり、
なんとなくで塾の全国一斉テストを受けたら良い成績を出したり、
自分のやりたいことを全く考えずに良い結果を出してきた。
だからだんだん無気力になってきた。
「俺、初めてなんです。あんな衝撃を受けたの、だからっ!!」
「不合格」
えっ、不合格?
「不合格です。間宮飛鳥くん。確かにキミは顔も良いしスタイルも良い。でも、まだその答えじゃあたしはあなたを劇団に迎えることはできない」
その結果に唖然とする。
面と向かって拒否されたのは初めてだ。
「どうぞ、お引き取りを。凛ちゃん、お見送りしてさしあげて」
「そんな…長谷川団長…」
凛子さんの小さな声が俺に不合格だったと実感させる。