日常的幸福論~もうひとつの話~





「最初の不合格はキミを試していたの。たまにさ、顔だけ良いやつが来るのよ。すぐに仕事が来るって勘違いするやつが多いんだ。そういうやつは最初に不合格って突きつければプライドが傷付いてすぐに帰ってくの。まっ、キミの場合目を見てすぐに本物だってわかったけど」




「ありがとう、ございます」





長谷川さんの優しい笑顔に安堵して涙が流れた。




「キミは大物になる。自分の演技を見つけて立派な俳優になって。頑張って」





誰かに認められることがこんなにも嬉しいものだったんだ。




「んじゃあ、せいの!!」




凛子さんの突然の掛け声。




「「「「「ようこそ!!!劇団神風へ!!!」」」」」





俺が俺を見つけた瞬間だった。
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