日常的幸福論~もうひとつの話~





入団してからの一年間はほとんど雑用だった。




掃除や買い出し、舞台作り。あぁ、スケジュール調整とかマネージャーみたいなこともやったな。




両親からの「高校は出なさい」という言葉も聞かずに俺は高校を中退した。





俺のやりたいことは学校にはない。





だったら一日中稽古場にいたい。




一日でも早く役者の夢を掴むために。





彼女とは別れた。




というより振られた。





『飛鳥かっこいいけど、これからは売れない劇団でしょ?あたし一緒にいたくないしぃ』





そんな事を言われたけど悲しくもなんともなかった。






やっぱり好きじゃなかったんだな。
< 41 / 124 >

この作品をシェア

pagetop