日常的幸福論~もうひとつの話~
入団してからの一年間はほとんど雑用だった。
掃除や買い出し、舞台作り。あぁ、スケジュール調整とかマネージャーみたいなこともやったな。
両親からの「高校は出なさい」という言葉も聞かずに俺は高校を中退した。
俺のやりたいことは学校にはない。
だったら一日中稽古場にいたい。
一日でも早く役者の夢を掴むために。
彼女とは別れた。
というより振られた。
『飛鳥かっこいいけど、これからは売れない劇団でしょ?あたし一緒にいたくないしぃ』
そんな事を言われたけど悲しくもなんともなかった。
やっぱり好きじゃなかったんだな。