日常的幸福論~もうひとつの話~
入団二年目の春、徐々に役がもらえるようになってきた。
最初は名前もないような、セリフも二言、三言あれば贅沢のようなそんな役。
だけど凄く嬉しかったのを覚えてる。
台本の活字が俺のセリフや演技で色ついてくる。
覚えたてのセリフが嬉しくて何度も何度も繰り返し練習をした。
そして、入団二年目の秋。
「では、配役発表……次回公演の主演に、間宮飛鳥!!」
主演?
本当に?
周りの劇団員からは「おめでとう」という言葉と拍手に包まれた。