日常的幸福論~もうひとつの話~
それから飯沼カンパニーの社長に認められた。
ただしある条件付きで。
―――私たちの一人娘、沙依と結婚を前提に付き合うこと―――
なんでも女子校育ちのお嬢様に変な虫がつくなら俺が良い、と。
演技ができるならなんだって良いって思って簡単に了承した。
演技にしか心を動かされなかった俺が、年下の彼女に心を動かされるとは。
「飛鳥、そんなとこで寝てたら風邪引くよ?」
ソファーでうたた寝をしていた俺にそう言ってブランケットをかけてくれたのは愛しい俺の奥さん。