日常的幸福論~もうひとつの話~
眉間に皺を寄せてる飛鳥とは対象にヘラヘラ笑っているルイ。
この二人、本当に親友なのかな、と疑いたくなるほど飛鳥は迷惑そうな顔をしている。
「そんな怖い顔しないでよ。綺麗な顔の人に睨まれたら怖いんだからね」
「なんで、お前は平然とよその家に来て飯食ってるんだよ?」
飛鳥から渡されたジャケットをハンガーにかけてクローゼットにしまった。
「沙依ちゃんに入れてもらったんだ。ねっ、沙依ちゃん」
そうだよね、とルイが同意を求めてきたけど飛鳥が怒るって知ってたら入れなかったよ。
ルイへ向けていた鋭い視線が今度はあたしに訴えている。
「全く、どうせルイが上手いこと言って家に入ってきたんだろう」
飛鳥はあたしの髪をくしゃっと撫でるとソファーに座って煙草を取り出した。
「沙依、俺もご飯食べる」
「あっ、うん。今仕度するね」
キッチンへ向かって、火にかけて温め直したお味噌汁と生姜ご飯の入ったお茶碗をお盆に乗せてリビングへ運ぶ。
ちなみに夫婦茶碗だ。