日常的幸福論~もうひとつの話~
ばっさりと飛鳥に断られたルイは何か考えはじめたけど、すぐにあたしの方を見てニコリと笑った。
「そっかじゃあ俺帰るわ。沙依ちゃん、ごちそうさまでした」
「いっ、いえ……。こちらこそ、花束ありがとうございます」
「いいえ~、それ、花風呂にできるから今夜飛鳥と使ってね」
意外の諦めの早さに違和感を覚えながらルイが帰っていった。
「お前、もうルイは入れるなよ?」
ルイがいなくなって静かになったリビングに飛鳥の声が響いた。
「飛鳥はルイと親友じゃないの?」
「誰が親友だ。あんなマイペース男と。あいつに関わるとロクなことがない」
確かにルイが家に来て数時間だけでもルイがマイペースだということがわかる。
きっと飛鳥もルイに振り回されたことがあるんだろうな。
「あっ、お風呂入れてくるね?」
ご飯を食べ終わって浴室へ向かおうとしたら、飛鳥に呼び止められた。
「薔薇風呂にするなら一緒に入らないぞ」
うっ……、入浴剤嫌いの飛鳥には薔薇風呂もアウトか。
久しぶりに飛鳥とお風呂には入れるからそうそうに薔薇風呂は諦めた。