日常的幸福論~もうひとつの話~
ベッドのシーツにくるまりながら目を覚ましたのはもうお昼近くだった。
昨日、飛鳥に何度も愛されて何度も意識を飛ばしたあたしは身体がおもうように動かない。
飛鳥が寝ていたであろうベッドの場所には小さなメモ用紙に綺麗な字で、
【沙依へ
仕事に行ってくる。今日は帰りが遅くなるから先に寝てろ。身体疲れてるだろうから今日はゆっくり休んでろ
飛鳥】
と書いてあった。
誰があたしの身体を疲れさせてるのよっ!!!
心の中で小さく悪態をついたけど、結局は飛鳥を受け入れてしまうのは他ならないあたし自身だ。
布団から手を伸ばしてベッドのサイドテーブルに置いてあるリモコンを手にした。
テレビの電源をつけると、飛鳥がお昼の生放送に出演していた。
黒のタートルネックに細身のジーンズはダークアッシュのジャケットがよく
長い脚を組んでちょっと高級感のあるソファーに座っている姿はまるで童話の中の王子さまだ。
この人があたしの旦那さまなんだってちょっと不思議。