日常的幸福論~もうひとつの話~
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「沙依。ちょっといいかしら?」
「何?お母さん、どうしたの?」
大学の講義で使うレポートを作成したいたときだった。
珍しいこともあるもんだな、と思いながらパソコンの画面を見ていた両目をお母さんに向ける。
お母さんが午前中のこの時間に家にいるなんてなにかあったのだろうか。
お父さんと一緒に夫婦二人三脚で芸能事務所を経営しているお母さんはこの時間に家にいるなんてまず無いに等しい。
「沙依、貴方あと半年で20歳の誕生日を迎えるでしょう。そこで、お見合いしてほしい人がいるわ。彼には演技力ももちろんだけど、人を魅了する力がずば抜けてる。将来は事務所を継いでほしいとも思っているの」
「待ってよ!!いきなりそんなお見合いなんて……」
異性とお付き合いしたことがないのにお見合いなんて無理に決まってる!!!
「もう彼の方には了承を貰ってるわ。まぁ、沙依も彼が相手なら断ると思わないけどね」
「彼って、誰なの?」
「間宮飛鳥よ」
あたしはその名前を聞いて一瞬気が飛んだ。