日常的幸福論~もうひとつの話~
エピソード4
役者指導
「マキ、いらっしゃい」
「お邪魔します!!飛鳥さん、沙依さん。今日から3日間、よろしくお願いしますっ!!」
玄関先で綺麗にお辞儀をした彼女。
飛鳥が以前所属していた劇団“神風”の新人団員さんだ。
ことの起こりは昨日の夜。
『沙依、悪いんだけど明日から3日間、神風の新人団員を住ませてやりたいんだけどいいか?』
『神風って劇団のだよね?何かあったの?』
飛鳥が言うには劇団に入った新人の子があまりにも演技ができておらず、いつまで経っても成長しない。
それをみかねた団長の長谷川さんが「飛鳥の近くに行って演技を盗んでこい」ということで飛鳥に応援要請があったのだ。
飛鳥が俳優になるきっかけとなった劇団。
お世話になっている団長や劇団、可愛い後輩からの頼みに飛鳥は協力したいとのこと。
『そういうことだったらいいよ。あたしも出来る限りの協力するよ』
『ありがとう、沙依』
「飛鳥さんから直々に演技指導して頂けるなんて、私幸せです」
飛鳥の後輩が男の子だと思い込んでいたあたし。
まさか女の子だったなんて。