日常的幸福論~もうひとつの話~
バリッバリッと我が物顔でソファーに座りお煎餅をかじる彼女。
「あんたアホちゃう!?」
久々に聞いた関西弁が懐かしい。
「愛理ちゃん?あの……何しに来たの?」
飛鳥とマキちゃんが出かけたあと、一通り家事をこなして飛鳥のDVDでも見ようと一息ついたときだった。
来客を告げるチャイムを鳴らしたのは以前ライバル宣言された女優、川村愛理。
「邪魔するでぇ」とずかずか入ってきて、あたしが食べる予定のお煎餅をバリバリと食べ始めた。
そして今度はライバル宣言に続きアホ宣言されてしまった。
「飛鳥さんの隣にいた女。なんなん!?」
「飛鳥が所属していた劇団の新人さん。ってか愛理ちゃん、飛鳥に会ったの?」
「さっきな。同じスタジオで撮影しとってん。ってかあんなメッチャ美人な女が飛鳥さんの隣にいるなんて許さへん!!飛鳥さんが今日から3日間うちに住むって言うて、あんたあの女に飛鳥さん取られるで!!」
愛理ちゃんが怒鳴る度にお煎餅が口の中でバリバリと音が鳴る。