日常的幸福論~もうひとつの話~





「それなら、私に作らせてください」



そして出前を取ろうとする飛鳥を制したのはマキちゃんだった。




「マキ、何か作れんの?」



「はい、簡単なもので良ければ」



もう作ることを前提としていたのかエプロンを持ち出した。




「いいよっ!マキちゃんはお客さまなんだから」



本来であればお泊まり初日の夜に少し豪勢な夕飯を作って歓迎してあげるのがあたしの役目なのに。



「いいえ。お世話になる身としてはこのくらいさせてください」



作る気満々な彼女に断ることはできず、飛鳥と目を合わせて「じゃあ、お願いするね」と言うとマキちゃんは腕捲りをして張り切った。




「飛鳥さんは夕飯が出来るまでの間お風呂に入ってきてください」



「いや、俺やらなきゃいけないことあるから。沙依、先に入ってこいよ」




仕事してきた二人を差し置いて一番風呂に浸かるのも気が引けたが、やることがないのはあたしだけなので素直にお言葉に甘えた。




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