日常的幸福論~もうひとつの話~
お風呂から出てリビングに行くと美味しそうな匂いが漂っていた。
「すごいっ!!これ、全部マキちゃんが作ったの!?」
テーブルの上には生ハムとアボカドのサラダ、カボチャのスープにデミグラスソースのかかったハンバーグ、それからカルボナーラ。しかも温泉玉子付き。
全部あたしの大好物ばかりだ。
「お口に合えばいいんですけど……」
「美味しそう!!早く食べよっ!!!飛鳥、早くこっちきて食べようよ!!」
冷蔵庫から何かを取り出している飛鳥を呼ぶ。
「今行くから。マキ、ワインは赤?白?」
「今日は赤ワインに合うよな味付けをしているんで、赤の方で」
「了解」
そう言うと飛鳥は赤ワインとグラスをふたつ持ってきた。
「飛鳥、あたしもワイン飲みたい」
「酒が苦手なんだからやめとけ。沙依がワインなんて飲んだら潰れるぞ。お前にはこれで充分」
飛鳥はあたしにワインではなくオレンジジュースを出してきた。
確かに、あたしの好きなメーカーの100パーセントのオレンジジュース。
でも、ワインを飲む二人の前では飲みたくなかったな。