日常的幸福論~もうひとつの話~
「そうだな。少し休憩にしようか」
「沙依さん、ありがとうございます」
ふたりはあたしの持っていたお盆からホットレモンの入ったマグカップを手に取り口につけた。
「どうかな?」
「美味しいです!喉に優しいですね」
「良かったぁ。飛鳥もこれよく飲むんだよ。ねっ、飛鳥」
あたしが飛鳥に話を振ると「まぁな」と素っ気なく台本をペラペラめくっていたけど、あたしにはわかるんだ。
マキちゃんの手前、少し照れてるのかな?
「本当に美味しい。飛鳥さんが羨ましいです。沙依さんのような素敵な奥さまがいて」
「そんな……」
マキちゃんの言葉に今度はあたしが照れてしまう。
「沙依さん顔赤いですよ?本当に可愛らしい」
「マキ」
台本から目を離して飛鳥がマキちゃんを睨んだ。
「はいはい。わかってますよ」
飛鳥とマキちゃんのあたしにはわからない会話が気になった。