日常的幸福論~もうひとつの話~
あたしは思いっきり飛鳥を睨んだ。
涙が溜まってる目で睨んでも威力なんてないだろうけど。
「飛鳥なんて……飛鳥なんて大っきらい!!!」
あたしがそう叫ぶと飛鳥さんは一瞬ハッとした表情を見せたけど、あたしをギュッと抱き締めた。
「あぁ、これかっ!!この気持ちか!!!ありがとう、沙依」
えっえっ、何が起きてるのかさっぱりわからない。
「本当に飛鳥さんってムカつくくらい策士ですよね。いやになりますよ」
「沙依の言動なんて俺にはお見通しなんだよ」
「本当にムカつきますね、飛鳥さんって。ほら、ちゃんと沙依さんに説明しなきゃ、沙依さん何にもわかってませんから」
「うるせぇな、今から説明すんだよ」
ふたりは先ほどまでの甘い空気をどこへやったのか、今度はぎすぎすしている。
一体、何が起きてるの!!!!
飛鳥は笑いながらあたしの頭をポンポンと触った。
「沙依、悪かったな。全部話すから。その前に、マキ。脱げ」
はっ?脱げって?