ルージュ ～盲目の恋に溺れて～

後始末を終えた遠藤さんは腕枕を私にしてくれた。


愛と優しさと温もりを感じる。


暖かくて安らげる。


「このまま寝てもいいよ」


遠藤さんが優しい言葉をかけてくれる。


もう一方の手は私の頭を軽くポンポンと撫でていた。


「心地よく眠れそうだけど、いいよ。なんか悪いから」


「遠慮しないで」


「でも……」


「大丈夫だから」


それなら、遠藤さんに甘えよう。


ゆっくり目を閉じた。


でも、なかなか眠れない。


眠れないから目を閉じたまま遠藤さんにいろいろ質問してみることにした。


「いつから私のこと気になってた？」


「初めて居酒屋で見た時から」


「嘘。本当に？」


「うん。君は？」


「私も初めて居酒屋で見た時から。ねえ、これから『葵』って下の名前で呼んでいい？」


遠藤さんは疲れたような声で「うん」と返事をした。