ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
髪が乾くと、お泊りセットのブラシを手にして髪を梳いた。


髪をキレイに整えて、ブラシを置く。


お泊りセットの整理をしてから脱衣所を出た。


冷房のガンガン効いたリビングに入る。


リビングのガラステーブルの前に座る。


夏休みの宿題を途中まで解いていた。


私は数学の問題集とノートを広げたままにしていた。


今日で夏休みが始まって三日目になる。


葵と付き合い出してから何度もこの家に泊まった。


期末試験中も家に泊まって葵と遊んでいたから試験の結果は散々だった。


成績は下がったけれど、お泊りがやめられない。


葵とは一分一秒たりとも離れたくない。


愛の炎がメラメラと燃えていた。


私はガラステーブルとソファの間に座っていた。


一生懸命、問題集の設問を解いていた。


ノートに文字を書き込んでいると、背後のソファから「ブー、ブー」と音が聞こえる。


振り返ると、携帯が音を立てながら震動していた。


その黒い携帯は葵の携帯だった。


ずっと、鳴り続けている。


一向に鳴り止もうとはしない。



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