ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
フライパンに揚げた肉だんごを入れ、タレと一緒に炒めていた。


片手に携帯電話、もう片方の手にはフライ返しを持っていた。


肉だんごをフライ返しでひっくり返す。


「店長の実家!」


花音が大声で叫ぶ。


耳がキンキンして私の鼓膜が震えた。


「あのね、車で連れて来てもらったんだ。お父さんもお母さんもイイ人だよ。二人ともすごく親しみやすいから、すーぐ仲良くなっちゃった。それに、かなり大きい家だよ。お金持ちだった」


花音は声を弾ませ早口で喋る。


いつになくテンションが高い。


よっぽど嬉しいんだろう。


「よかったね。お金持ちなんだ」


「うん。そういえば遠藤さんの家もお金持ちなんだって。逗子に実家があるそうだ。店長から聞いた」


「そうなの?」


電話で話しながら、また肉だんごをひっくり返す。


IHクッキングヒーターは火を使わず発熱させる。


火を使わないから安心して調理ができる。


肉だんごが焼き上がったのでボタンを押した。


「ピー」と音が鳴る。


「今の音、何?」


音が聞こえた花音が不審がって尋ねる。












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