ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
両手を口元にあてる。


感激のあまり感謝の言葉が見つからない。


まさか自分のためにケーキを買ってきてくれるなんて予想もしていなかった。


「午前0時になったら食べよう」


葵が提案する。


「うん」


返事をするので精一杯だった。


「さてっと。今日のおかずは何かなあ」


トッププレートに置いてあるフライパンの中を葵が覗く。


サラッとこう言った。


「ハンバーグかあ」


「もう、違うよ。肉だんごだよ」


「肉だんご? ハンバーグじゃないの?」


葵はずっと目を丸くしたままだ。


どうやら納得がいかないらしい。


「肉だんごの照り焼き。食べたことないの?」


葵は私の質問には答えず、ただ怪訝そうに肉だんごを見つめている。


肉だんごの照り焼きを怪しんでいるようだ。


「どんな味だろう?」


「それは食べてからのお楽しみ」





 
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