ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
でも、友達以外のクラスの女子たちは快く思わないのか「最近、調子に乗ってるから嫌い」や「なんかムカツク」と私を叩くようになった。


きっと、原因は左手の薬指にはめている指輪だろう。


ピンクダイヤモンドの指輪をしているのを見てクラスの女子に「それ可愛いね」と誉められた。


大人の彼氏にもらったんだと自慢するつもりはなかったんだけれど話したら彼女たちのグループに嫌われた。


私も葵という素敵な彼氏ができて浮かれ騒いでいたので浅はかだった。


どこの世界でも妬まれるとバッシングを受けるはめになる。


だから、うまく生きるためには反感を買わないよう周りに媚びなければならない。


でも、私はクラスの一部の女子のご機嫌取りをするなんてうんざりだった。


それなら、学校を辞める方がマシだ。


逃げかもしれないけれど、無駄にストレスを溜めたくない。


左手の薬指に光るピンクダイヤを眺める。


これさえあれば、幸福を実感できた。


突然、寝室のドアノブを回して扉を引く音が耳に入った。


開くはずのない寝室のドアが開いた。


気のせいか、さっき玄関の方で鍵を回す音がしたように思えたが何なんだろう。


強盗だろうか?


恐怖で全身が凍りつく。


掛け布団の端を強く握り締める。


息を殺して眉を上げ目を見開いた。


ドアから何者が入ってくるのか微動だにせず見守る。





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