ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
周りの空気は張り詰めていた。


スーッと部屋に足音も立てず入ってきたのは女の人だった。


幽霊だ。


肌という肌が粟立つくらいの恐怖が一気に全身を駆け巡る。


身体が小刻みにわななく。


女の幽霊は髪の色が血のような赤色だった。


それが不気味でたまらない。


おかっぱで髪が肩まである。


上はブラウス、下は長いスカートをはいていた。


目からは冷たい光を放っている。


年は三十代後半だろうか。


時間が経過すると恐怖心が薄らいでいった。


この人は幽霊じゃない。


よく見ると、スナックのママのような雰囲気の人だった。


一重の大きな瞳と大きな鼻と分厚い唇が強烈にインパクトに残る。


一度見たら忘れられない顔で個性的な美人だ。


鼻の高いクレオパトラ風といったところだろうか。


不思議な魅力がある。


小奇麗に化粧しているが服装のセンスが良くない。


変わった女の人だった。




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