ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
彼女はベッドの中にいる私の顔を眺め回すと「フッ」と鼻で笑った。


口元を緩ませる。


赤いルージュがイヤミなほどよく似合う女だった。


この人が口紅を落とした人だ。


そんな気がした。


「あんた、葵の新しい女かい?」


彼女が私に話しかける。


私は戸惑った。


とりあえず、ベッドから起き上がることにした。


でも、服は着ていない。


下着姿だ。


掛け布団で身を隠す。


「葵もやるね。女子高生をたらしこむなんてさ」


彼女はそう言うと、ククッと笑って視線を寝ている葵に移した。


「なんで私が女子高生ってわかったんですか?」


「壁を見てごらんよ」


私は自分の学校指定のブレザーの制服が壁にハンガーで掛けられているのに気付いた。


これを見て悟ったんだ。


「洞察力がある方なんでね」


彼女は物静かな口調で、だみ声を発する。










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