ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
「このベッド、なんとかならない?」


私の言葉に葵は不快そうな顔をした。


そして、嘆息を漏らす。


ベッドに座っていた私は降りて葵に歩み寄る。


そばまで来て立ち止まった。


葵の素肌の胸に手をあてて顔を見上げる。


「ねえ、なんとかならない?」


「なんとかって?」


葵は顔を背けて口を開いた。


冷たくて刺のある言い方だった。


かなり不機嫌そうだ。


「捨てて。新しいのを買って」


私が真剣に訴える。


でも、葵はそっぽを向いたままだ。


まったく、応じない。


「ねえ、お願いだから新しいベッドを買って!」 


私の語調が自然と鋭くなる。


葵がそれでも応じない。


「ねえ、どうして無視するの!? 私、嫌だよ。このベッド、加瑠羅さんと愛し合ったベッドでしょ!? このベッドで寝るの嫌! なんとかしてよ!」


声を荒立てると葵が青筋を立てて、こう反論してきた。











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