ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
よろよろして倒れそうになり、その場にしゃがみこむ。


頭を抱える。


嫌だ。


こんなの嫌だ。


夢であってほしい。


全部夢でこの現実空間なんか消えてなくなればいいんだ。


これが幻だったら、どんなにいいだろう?


あの葵の残酷なほど楽しそうに笑っていた横顔が頭に焼きついて離れない。


頭皮を両手で掻きむしる。


あの笑顔が私を地獄に突き落としたんだ。


そう思うと、一気に頭に血が上る。


裏切られた!


嘘つき!


仕事で会えないって言ったじゃない!


仕事じゃなかったの!?


ひどい。


会えないなんて嘘だったんだ。


本当は夏女とクリスマスを過ごしたくて嘘をついたんだ。


殺してやりたい。


葵を殺す。









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