ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
お風呂から上がると、リビングのソファに腰を下ろした。


ガラステーブルの上に置いてあったテレビのリモコンを手に取った。


薄型液晶テレビの電源を入れる。


気分転換にバラエティでも見て嫌なことを忘れようとした。


でも、画面にクリスマスツリーが映った。


そのツリーに点る青色イルミネーションの光を見た瞬間、さっきの出来事を思い出して胸が潰れそうになった。


電源を切る。


葵は今頃、クマのぬいぐるみをプレゼントした夏女を抱いているんじゃないだろうか?


一番考えてはいけないことが頭をよぎる。


葵がクリスマス・イヴの今夜、私ではなく恋敵を抱いているのかと思うと胸が絞めつけられるほど苦しい。


いっそ、死んでしまいたい。


死ねば楽になれるだろう。


この部屋で自殺しようか?


あの時間帯にあそこを通らなければ死を考えることはなかったはずだ。


なんで通ったんだろう?


自分で自分を呪いたくなる。


もうクリスマスなんか大嫌いだ。


特にクリスマス・イヴは大っ嫌い。


どこか遠くへ行きたい。


外国に逃げてもクリスマスは存在する。








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