ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
この時間が楽しかったのかもしれない。
考えてみると、正妻と愛人と元愛人が仲良く三人でお喋りしていたんだから変な感じだ。
通常、この状況なら修羅場になっているはずだ。
何もかもが滑稽に思えた。
コートを着た加瑠羅と私は玄関ホールに向かった。
後方から見送りに夏子さんがついてくる。
玄関扉を加瑠羅が開ける。
先に出るよう促されて私は玄関扉をくぐった。
続いて外に加瑠羅が出る。
その次に夏子さんまで出てきた。
外気が暖房で火照った顔を冷やす。
「今日は楽しかったよ。またね」
「こちらこそ。とっても楽しかったです。いつも暇してるので近くにお立ち寄りの際は、また来てくださいね」
元愛人と正妻が別れの挨拶を交わす。
二人の間には愛情のようなものが芽生えているように見えた。
「薫ちゃんもぜひ遊びに来てね」
朗らかな表情で夏子さんは私に言葉をかけてくれた。
悪意が微塵も感じられない。
やはり非の打ち所がない人だ。
加瑠羅が私の背中に腕を回してきた。
考えてみると、正妻と愛人と元愛人が仲良く三人でお喋りしていたんだから変な感じだ。
通常、この状況なら修羅場になっているはずだ。
何もかもが滑稽に思えた。
コートを着た加瑠羅と私は玄関ホールに向かった。
後方から見送りに夏子さんがついてくる。
玄関扉を加瑠羅が開ける。
先に出るよう促されて私は玄関扉をくぐった。
続いて外に加瑠羅が出る。
その次に夏子さんまで出てきた。
外気が暖房で火照った顔を冷やす。
「今日は楽しかったよ。またね」
「こちらこそ。とっても楽しかったです。いつも暇してるので近くにお立ち寄りの際は、また来てくださいね」
元愛人と正妻が別れの挨拶を交わす。
二人の間には愛情のようなものが芽生えているように見えた。
「薫ちゃんもぜひ遊びに来てね」
朗らかな表情で夏子さんは私に言葉をかけてくれた。
悪意が微塵も感じられない。
やはり非の打ち所がない人だ。
加瑠羅が私の背中に腕を回してきた。