ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
あの温もりが恋しい。


狂おしいほど欲していて愛している。


私は死んでしまう。


葵がいないと死んでしまう。


もう会えないなんて嫌だ。


頭がおかしくなりそう。


誰か私を抱いて。


葵を忘れたいから抱いてほしい。


葵の代わりに温もりをくれる人はいないだろうか?


むせび泣きながら床に落ちていた携帯電話を横目でじっと見る。


それを拾い上げて手繰り寄せる。


アドレス帳を表示させる。


あ行を調べる。


『石川優』に目が留まる。


親指が通話ボタンを押していた。


「プルル……」


呼び出し音がする。


「もしもし!? 薫!?」


電話が繋がった。


優はやや興奮気味だ。













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