ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
居酒屋
カウンターの一番奥の席から私は店内を隈なくチェックしていた。
遠くまで見渡せるように端っこの席に座って客の顔ぶれを見る。
近くのテーブル席から団体の大きな笑い声が聞こえてきた。
一瞬、驚いて畏縮する。
身をすくめていると、隣の中年男性が赤ら顔で話しかけてきた。
「お嬢さん、大学生? いくつ? 可愛いね」
酒臭い息を吐きながら、薄ら笑いを浮かべている。
私は相手にしないと決めて口を真一文字に結んだけれど、それでも男は私に絡んでくる。
「一人なの? 俺も一人なんだ。寂しいよ」
男は顔を近くまで寄せてきた。
気持ち悪い。
あからさまに嫌そうな顔をして視線をカウンターの中にいる店長に投げる。
目で「助けて」と訴えた。
アイコンタクトによって私の気持ちが店長に通じたのか、店長が私たちの前まで来た。
「お客さん、困ります。未成年の女の子をナンパするのは、よしてくださいよ」
しっかりした強い眼差しで店長が男をたしなめる。
「この子、未成年なの? なんで俺みたいに一人で飲み屋に来てるんだよ? たしか昨日もいたよね? この間も見たよ。もしかして飲み屋に通ってる? なんで?」
男は、私たちに質問を畳み掛ける。
この男が高校生で居酒屋通いする私を不審に思うのは、もっともだ。
酒とタバコの臭いが充満する、ほとんど大人の世界といってもいい居酒屋に健全な高校生が通うのは変な話だ。
しかもその上、一人ときたらますます不審に思うだろう。
遠くまで見渡せるように端っこの席に座って客の顔ぶれを見る。
近くのテーブル席から団体の大きな笑い声が聞こえてきた。
一瞬、驚いて畏縮する。
身をすくめていると、隣の中年男性が赤ら顔で話しかけてきた。
「お嬢さん、大学生? いくつ? 可愛いね」
酒臭い息を吐きながら、薄ら笑いを浮かべている。
私は相手にしないと決めて口を真一文字に結んだけれど、それでも男は私に絡んでくる。
「一人なの? 俺も一人なんだ。寂しいよ」
男は顔を近くまで寄せてきた。
気持ち悪い。
あからさまに嫌そうな顔をして視線をカウンターの中にいる店長に投げる。
目で「助けて」と訴えた。
アイコンタクトによって私の気持ちが店長に通じたのか、店長が私たちの前まで来た。
「お客さん、困ります。未成年の女の子をナンパするのは、よしてくださいよ」
しっかりした強い眼差しで店長が男をたしなめる。
「この子、未成年なの? なんで俺みたいに一人で飲み屋に来てるんだよ? たしか昨日もいたよね? この間も見たよ。もしかして飲み屋に通ってる? なんで?」
男は、私たちに質問を畳み掛ける。
この男が高校生で居酒屋通いする私を不審に思うのは、もっともだ。
酒とタバコの臭いが充満する、ほとんど大人の世界といってもいい居酒屋に健全な高校生が通うのは変な話だ。
しかもその上、一人ときたらますます不審に思うだろう。