ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
その瞳は柔らかく穏やかだった。


「薫の子供なら喜んで育てるよ」


「なんで?」


私が質問を投げかけると優は微笑みながら、こう言った。


「お前と……家族になりたいんだよ……」


そして、また優は一息つくと、こう言った。


「結婚しよう」


プロポーズだ。


私は優にプロポーズされたんだ。


子供の父親ではない人だけれど誠実な人ではある。


男性は誠実な人が一番なのではないかと思う。


大切なのはセックスがうまいか下手ではなく相手が誠実であるかないかだったんだ。


どうして今の今まで気付かなかったんだろう。


気付くことができたのは葵と出会えたおかげだ。


葵と出会っていなかったら優の誠実さに気付くことはなかった。


葵との出会いは意味のあることだったんだ。


「よかったね。優が父親になってくれるって!」


花音は大喜びで声を上げる。


でも、どうやって育てていくんだろう?


優はまだ高校生だ。














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