ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
でも、その人、葵と目が合ってしまった。


葵は私を見て少し微笑んだ。


何のつもりか、わからない。


じっと私を見つめる。


大人の対応で私も微笑み返す。


もう、私たちは終わったんだ。


いろいろあったけれど終わったんだから全部水に流そう。


そう思った。


讃美歌も誓約書の署名も終わって新郎新婦は腕を組んでバージンロードを歩いていた。


照れている様子の花音は視線を下に落としていた。


普段は、大きくて男の子のような花音が花嫁衣裳だと華麗で女性らしく見える。


花音にとって今日は特別で最高の日になっただろう。


花音には幸せになってほしい。


店長とお腹の子と共に温かい家庭を築いていってほしい。


二人が教会を出ると私たち参列者もバージンロードを踏まずに退場した。


式の後はウェディングパーティがあると聞いている。


教会に隣接するパーティ会場のゲストハウスへと向かった。


ゲストハウスは貸切の個室で四十人ほど収容できるらしい。


行ってみると壁一面が窓で大開口から風が入っていた。































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