ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
「まだ、あのマンションを借りてるよ。いつでも気が変わったら遊びにおいでよ」


拒絶しても葵は物怖じしない。


よほど自分に自信があるんだろう。


そして、私のことを惜しいと思っているようだ。


葵が私の耳に唇を近づけてきた。


私の耳に息を吹きかける。


気持ち悪い。


「寂しいよ」


葵が耳にキスするほど近くまで唇を寄せてきて囁く。


「今度、メール送る。必ず返信して。いい返事を待ってるから」


また、囁く。


葵のメールアドレスは携帯に登録されたままだ。


拒否アドレスに設定しよう。


メール交換はしない。


「今日はドレスアップして一段と可愛いよ、薫」


もう葵に褒められても嬉しくない。


私は顔をまっすぐ向けて真横を見ない。


「ピンクの口紅だね。女の子っぽい可愛らしい感じがする」


葵が私を煽てる。


私は知らん顔を続けた。











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