ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
意気消沈したままベッドの上で膝を抱えて優の方に背中を向けた。


いじけて白い壁と向き合っている。


「はぁー」とため息が私の口から漏れた。


言い返してやりたくても、それができないから悔しい。


言いたいことは、たくさんある。


でも、面と向かって本人には言えない。


「自分だって早漏のくせに! 恥ずかしい男!」や「あんた、あっちの方が下手なのわかってる? ちっともよくない! へたくそ!」と本音を吐露してしまえば優はどうするだろう?


想像できない。


泣き喚くか怒るか、はたまた別れを切り出すか、どうするか全然読めない。


どっちにしろ、言わない方がいい。


優と初めて結ばれたのはいつだったか、そもそも付き合いだしたきっかけは何だったっけ?


記憶の糸を辿る。


たしか元彼と別れてすぐに友達だった優と付き合うようになったんだった。


元彼とは中学の時からの仲で別々の高校に進学して浮気されてしまい、別れたんだった。


優はクラスメイトで私の恋の相談相手だった。


自分勝手で気性の激しいタイプの元彼に振り回されて私は苦労していた。


優は親身になってその話を聞いてくれた。


そうして、大切な人だと気付き彼氏と別れて障害がなくなったわけだから部屋に呼んで男女の仲になったんだった。


でも、参ったことに元彼も優も早漏だった。


二人とも二分も持たない。


あっという間に終わる。












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