ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
遠藤さんは熱っぽい目で私を見ていた。


この淡い茶色のキレイな瞳に私は身も心も吸い込まれるんじゃないだろうか?


もし、この魅力的な瞳に私のすべてがさらわれてもかまわない。


全部あげる。


もらってほしい。


私はあなたのものだからとそう思った瞬間、私の頭の中から理性が消えた。


テーブルに置いていた手を前に滑らせて同じくテーブル上にあった遠藤さんの手まで近づけた。


私は何をやってるんだろう?


これ以上、みっともないことはしたくない。


でも、制御できない。


私は自分の指を遠藤さんの指に触れさせようとした。


あなたに触れたい。


ただ、それだけだから逃げないで。


拒絶しないで。


私を受け入れて。


好きなの。


中指を遠藤さんの中指に近寄せようとしている。


指を這わせて少しずつ、少しずつ遠藤さんの指へと向かっていた。


あと、もう少しで触れ合える。


その時にウェイターがコーヒーを運んできて私はすぐさま手を引っ込めた。


遠藤さんは何事もなかったようにコーヒーカップの取っ手を触った。












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