ルージュ　～盲目の恋に溺れて～
第二章　乗り換え

別れ話

店先には、緑色の日よけスクリーンの下に数脚の椅子とテーブルが並べられていた。


そこには、若者たちが腰掛けていて飲み物を置いていた。


なんてことない、よく見る風景だ。


テラス席に待ち合わせの相手はいなかった。


店の出入り口のガラス扉を押そうと近寄る。


観葉植物が近くに置かれていて柔らかい光を浴びながら爽やかな風に吹かれていた。


少し緊張をほぐすため、扉の前で軽く深呼吸をする。


それから、思い切って扉を開けた。


「いらっしゃいませ。何名様ですか？」


私に向けて言葉を発した男の店員の声が店内に響き渡る。


「待ち合わせなんです」


そう答えながら、辺りをキョロキョロして優を探す。


優はまだ来ていないようだ。


「相手の方は、いらっしゃってますか？」


その店員が私に尋ねる。


「いいえ。まだ来てないみたいです」


「こちらの席へどうぞ」


その店員は片手を席の方へ向けた。


その席は窓際の席だった。


この店は、壁一面がガラス張りだ。


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